
こんにちは。今回は、発育性股関節形成不全(DDH)がわが子に見つかるまでの経緯を、私自身の体験をもとに時系列でまとめました。
「うちの子、大丈夫かな?」
「検診で何か言われたけど心配しすぎ?」
そんなふうに不安に思っている方の、少しでも参考になればうれしいです。
発育性股関節形成不全(DDH)とは?
DDHとは「発育性股関節形成不全」の略で、股関節の正常な発達がうまくいかない状態のことをいいます。
たとえばこんな状態が含まれます:
- 臼蓋形成不全(骨盤側の受け皿が浅い)
- 亜脱臼(股関節のはまりが浅い)
- 完全脱臼(骨頭が関節から外れている)
うちの子は、このうち「完全脱臼」と診断されました。
なぜ起こるの?DDHの原因
DDHには、いくつかの要因が重なって発症します。
- 遺伝的要因:家族歴がある、女児であること
- 環境的要因:子宮内での体位(例:骨盤位)、足を伸ばした抱っこやおくるみなど
「こうすれば防げる」という単純な話ではなく、誰にでも起こり得る可能性がある症状です。
【時系列で紹介】DDHが見つかるまでの道のり
◯ 生まれた時
うちの子は、約1か月の早産でしたが、普通分娩で元気に生まれてきました。
少し向き癖がありましたが、「赤ちゃんにはよくあること」と気にしませんでした。

いつもこの向きで過ごしていました。
◯ 生後1か月検診
▽ 産院での検診
特に異常なしとの診断。
▽ 市の保健師さんによる訪問検診
このとき、「股関節がかたいですね」と指摘され、「整形外科かかかりつけ医で診てもらってください」と言われました。
まだ「かかりつけ医」はなかったので、小児科と整形外科の両方を掲げている病院を探して受診することにしました。
◯ 初めての整形外科受診
町のクリニック(とはいえ大きめの病院)でした。赤ちゃんの受診は珍しいのか、みんなにかわいがられたのを覚えています。
診察は触診のみで、
「硬さはあるけど、脱臼してないよ。1か月後また見せてね」
と言われました。
その言葉に心から安心した反面、「うちの子はDDHじゃない」と思い込んでしまいました。
親として、ここで知っておきたかったこと
この時点で私が知っていればよかったことがあります。
🔍DDHの診断には経験が必要
DDHの発見は、慣れていないと難しいと言われています。最近ではDDHの患者数が減少しており、実際に診断した経験のない医師も増えているそうです。そのため、病院選びの際には、小児の診察に慣れているかどうか、あるいは小児整形外科の専門医が在籍しているかをしっかり確認することをおすすめします。
🔍 DDHの検査方法には種類があります
- 触診:簡単にできるが見逃されやすい。二次検診以降は他の検査と組み合わせての診断が必要。
- レントゲン:骨の形がわかる(ただし、生後3〜4か月までの赤ちゃんは軟骨が多く写らない)
- エコー(超音波検査):生後4か月頃までは最も有効で確実な検査方法
つまり、二次検診にはエコーが欠かせないんです。
触診だけでは診断が難しい場合も多く、今思えば「エコーもとってほしかった」と強く思います。
◯ 生後4か月検診で事態は一変
通っていた整形外科では「だいぶ柔らかくなってきたね!」と安心していた矢先。
市の4か月検診で医師から一言、
「これは、大きな病院で診てもらってください」
頭の中は「?????」状態。
思わず、「通ってる整形外科では異常ないって言われてるんですけど!?」と口答えしてしまいました(今思えばお恥ずかしい話です。本当にすみませんでした…)。
◯ 総合病院 ⇒ 大学病院へ
出産した病院の小児整形外科へ行き、レントゲンを撮影。
そこで医師から言われたのは、
「微妙ですね…」
微妙…ってなに?とさらに混乱。
結局そこでの判断は難しく、大学病院の専門医へ紹介されることになりました。
◯ 大学病院での診断
大学病院では、赤ちゃん用のエコー+レントゲンで再検査。
その結果、
「脱臼していますね」
と告げられました。
頭が真っ白に。
「生後1か月から病院通ってたのに…」
「何を信じればよかったの…?」
のちに知ったのは、うちの子の状態は**DDHの中でも重症度の高い“完全脱臼”**だったということ。
向き癖・抱っこ・生活面の注意も大切だったと気づいたこと

画像提供:ベビーカレンダー(©baby calendar Inc.)
生後1〜2か月のころに、もっとDDHについて知っていれば、生活の中で工夫できることがたくさんあったと、今になって感じます。
この時期は、たとえDDHと診断されても、すぐに治療が始まらないことも多いですが、生活環境を見直すことで悪化を防げた可能性があったのではないかと思います。
たとえば…
- コアラ抱っこ(足をM字に広げる姿勢が大切)
- 向き癖の矯正を早く意識する
赤ちゃんが自由に足を動かせる環境を整えることが、DDH予防にもつながるそうです。
この経験から学んだこと
- 検診で指摘があれば、必ず大きな病院で再確認を!
- エコーやレントゲンを用いた検査があるか確認しよう
- 触診だけでは見逃される可能性があることを知っておこう
- 親自身も「知識武装」して診察に臨むことが大切
よくある質問(私も当時疑問だったこと)
Q:DDHって、ちゃんと治るの? 歩けるようになる?
→ 早期発見・早期治療ができれば、多くの子は正常に歩けるようになります。
うちの子も、順調に治療が進んでいます。
Q:どんな治療をするの? 期間は?
→ 症状の重さによりさまざまですが、装具(リーメンビューゲル)や入院・牽引治療が必要になるケースもあります。
Q:触診だけではだめなの?
→ 初期はエコーがとても有効です。触診だけで判断せず、小児専門の整形外科で検査を受けることが安心につながります。
最後に:親が「疑うこと」「調べること」は決して悪いことじゃない
DDHは、早く気づけば気づくほど、赤ちゃんの負担を減らせる可能性があります。
不安に思ったら、「大げさかな?」なんて思わずに、大きな病院でしっかり診てもらう。
この体験が、同じように悩んでいるどなたかの一歩になればうれしいです。
🏥 赤ちゃんの股関節を診察できる医療機関一覧
「どこの病院に行けば、赤ちゃんの股関節をきちんと診てもらえるの?」と迷う方へ。
以下のリンクでは、日本小児整形外科学会が公開している、全国の医療機関一覧を見ることができます。
🔗 赤ちゃんの股関節を診察できる医療機関一覧はこちら(日本小児整形外科学会)
専門医を探す際の参考に、ぜひご活用ください。
▼ 次回予告:治療編
うちの子がこのあとどんな治療を受けたか、装具や入院生活については【次回:治療編】で詳しくお伝えする予定です。
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